箕輪初心●里見一族シリーズ⑥「南総里見八犬伝&群馬」

箕輪初心●里見一族シリーズ⑥「南総里見八犬伝&群馬」
◆南総里見八犬伝は滝沢馬琴の「安房里見家の古河公方への対抗を物語にした小説」
である。戦国時代に安房里見家の姫:伏姫と神犬八房の因縁によって結ばれた八犬士を
主人公としている。八犬士は仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の文字のある玉を持ち、牡丹の
形の痣を身体のどこかに持っている。八犬士は里見家のために結集する。
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 (写真は、妙義神社の奥の院・・・2011年現在、台風のため修理中)
『水滸伝』では百八の魔星が飛び散り、豪傑英雄として各地に現れる。
『八犬伝』では八つの数珠玉が飛び散り、八犬士として世に現れる。
『八犬伝』は『水滸伝』をパクっているのだ。儒教的な勧善懲悪物語となっている。

【南総里見八犬伝の3部の構成】
 ①南総里見家の勃興と伏姫・八房の因縁を説く発端部(伏姫物語)、
 ②関八州各地に生まれた八犬士たちの流転と集結の物語(犬士列伝)、
 ③里見家に仕えた八犬士が関東管領・滸我(古河)公方連合軍と戦争
   →(関東大戦=対管領戦)→大団円へ向かう部分

【南総里見八犬伝の登場人物】
 ①犬塚 信乃・・・・
 ②犬川 荘助・・・ 
 ③犬山 道節・・・・長禄3年(1459) 武蔵豊島生まれ。父は煉馬家重臣・犬山道策貞与。
                         浜路の異母兄。
 ④犬飼 現八・・・・長禄3年(1459) 安房州崎の漁師:糠助子。幼名玄吉。
 ⑤犬田 小文吾・・長禄3年(1459) 行徳の旅籠屋:古那屋文五兵衛の子。
                        犬江親兵衛は甥。巨漢であり、相撲が得意。
 ⑥犬江 親兵衛・・文明7年(1475) 下総市川生まれる山林房八と沼□の子。
                        犬田小文吾の伯父。
 ⑦犬坂 毛野・・・・            千葉氏重臣:粟飯原胤度の妾の子。
 ⑧犬村 大角・・・・寛正元年(1460) 父は下野の郷士赤岩一角。母は正香。

【群馬における南総里見八犬伝の場所】

1)伏姫物語
●結城の合戦の落武者:里見義実は安房で、滝田城主:神余光弘を殺した逆臣:山下定包を
  討って城主となった。里見義実は山下定包の妻玉梓を斬首することにした。玉梓は呪いの
  言葉を残しながら死んでいった。
●里見領の隣の館山城:安西景連が攻めてきた。滝田城落城直前に、里見義実は飼犬「八房」
  に「景連の首を取ってきたら娘:伏姫を与える」と言った。「八房」は敵陣に踊り込み、景連の
  首を持参して戻って来た。
  里見義実は褒美として山海珍味や係の役人を与えるが、八房は興味を示さなかった。
  そして、伏姫の寝所へ乱入した。
  伏姫は「相手は犬とはいえ、君主が一度口にした約束を違えてはいけない。」と八房を伴い
  富山に入った。
●伏姫は八房に肉体の交わりを許さず、読経の日々を過ごした。
●翌年、伏姫が懐妊した。
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  仙童から「八房が玉梓の呪いを受けていたが、読経の功徳により怨念は解消された。
  「そして、八房の気を受けて種子を宿した。」ことが告げられる。
●伏姫は懐妊を恥じて自害しようとした時、富山に来た金碗八郎の銃弾を受けた。
  伏姫は絶命直前に、里見義実の前で割腹し、胎内に犬の子がないことを証明した。
●伏姫の傷口から流れ出た白い気は伏姫の数珠を空に舞い上がった。
 そして、「仁義八行」の文字のある八つの大玉を飛び散った。
●里見義実は自害しようとした大輔を留めた。
  大輔は僧:大を名乗り、八方に散った玉を求める旅に出た。

2)犬士列伝
●弁才天に参拝した帰り、神犬に乗った神女に珠を授けられたのが、犬塚信乃である。
  武蔵大塚村で若くして死んだ母の遺言により、幼い頃から女子として育てられた。
  村長の家で「信乃の飼い犬:与四郎が暴れ、管領家:足利からの御教書を破損した。」
  との訴えで父:番作は自害した。
  信乃は大塚家に引き取られ、養女「浜路」の将来の婿とされる。
  しかし、伯母夫婦は、犬塚信乃の鎌倉公方家の宝刀「村雨丸」を奪うことを企んでいた。
●寛正6年(1465)  
  額蔵は父が主君足利の勘気に触れて切腹ので、里見家に仕官している母の従兄を頼っ
  て安房国に向かった。が、途中の大塚で母親が倒れた。以来、大塚家の下男としてなった。
●文明2年(1470年) 額蔵(=犬川荘助)は大塚家に引き取られ犬塚信乃の世話役兼監視
  役となった。犬塚信乃が自分と同じ痣と珠を持っていることを知り、義兄弟の契りを結んだ。
  知蟇六夫婦は大塚家の下男:額蔵は犬川荘助だったことを知った。
  犬川荘助は犬塚信乃と武芸を競い、学問を学んだ。
●文明10年(1478)6月 
  蟇六夫婦は村雨丸をすり替え、信乃を許我(古河)公方足利成氏のもとに旅立たせた。
  蟇六夫婦は浜路を陣代の側妾にしようした。浜路は網乾左母二郎に「村雨丸」を取られた。
  網乾の持つ刀が本物の村雨丸と知った浜路は刀を取り返そうとした。
  しかし、浜路は切りつけられてしまった。
● 浜路の異母兄で煉馬家家臣:犬山道節が現れ、網乾左母二郎を切り捨てた。
  浜路は本物の村雨丸を信乃に渡すよう道節に頼み、息を引き取る。
●犬川荘助が犬山道節と斬り合った際、切り裂かれた犬山道節の左肩の瘤から珠が飛び出し、
  荘助の手に渡った。逆に犬山道節は犬川荘助の珠を手に入れた。
●犬川荘助が大塚に戻ると主人蟇六夫婦が陣代:簸上宮六に殺されていた。
  犬川荘助は主人の仇を討つこととなった。
  しかし、捕らえられた額蔵は主人殺しの罪を着せられた。
  処刑される寸前、犬塚信乃と犬田小文吾に救出される。
●荒芽山(=群馬荒船山)を目指しての逃避行の中で、「犬川荘助義任」と名乗る。
●犬塚信乃は滸我(古河)で足利成氏に謁見する予定だったが、村雨丸が贋物であった
  事から管領方の間者と疑われ、命を狙われる。
●犬塚信乃は芳流閣屋根に追い詰められた元獄舎番:犬飼現八を組み合った。
    →ともに利根川に転落した。
  下総行徳へと流れつき、犬田小文吾と父:古那屋文吾兵衛に助けられた。
●古那屋に匿われた信乃は、芳流閣での怪我が元で破傷風で高熱で寝込んでしまった。
●犬飼現八は武蔵志婆浦へと薬を求めて走った。・・・・
●犬田小文吾は喧嘩の仲裁をした。
  文五兵衛は荘官に呼ばれ、古那屋の留守は小文吾の妹と幼子のみであった。
●沼藺の夫:山林房八が犬塚信乃を捕らえようと現れる。
 房八は大八の脇腹を蹴り上げ、その先に息も絶え絶えな信乃に刀を抜いた。
 房八は信乃を庇う沼藺を斬ってしまった。
●妹を斬られた犬田小文吾は、房八を斬り殺した。犬塚信乃は奥部屋へと匿われた。
 房八の首を信乃と偽って荘官の使いへと差し出した。
●宿に居合わせた「大」の呪法により大八は息を吹き返した。
  大八の左手から珠が転げ落ち、犬士の一人と判明。
●「大」から里見家との因縁を知らされた犬士たちは、処刑寸前の荘助を救う為大塚村へと急ぐ。
●大八は安房に向かうが、途中神隠しに遭遇。
●大塚へと向かった三犬士は処刑されようとしていた犬田荘助を救出。
●犬塚信乃・犬川荘助・犬飼現八・犬田小文吾が桶川(埼玉県)で1泊。
四犬士は妙義神社(群馬県富岡市)に向かった。
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  偶然、犬山道節も参詣していた。
 
●四犬士は妙義神社から白井に、犬山道節の扇ヶ谷定正の仇討ちにつきあうことになった。
犬山道節は上州白井(渋川市白井城)で
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 村雨丸を用いて、
 扇谷定正を討とうとするが、巨田助正の替え玉策によって失敗した。
 しかし、父の主君:練馬倍盛の首をはねた越杉駄一郎と父の敵」竈門三宝平五行を仕留めて、
 仇討ちを果たした。
 刀は例の「村雨丸」であった。~~~

●五犬士は再び、上州荒芽山(=荒船山)に向かった。

●五犬士は武蔵から1年前に逃げて来た音音(おとね)の一軒家で合流した。
  犬山道節は犬士として自覚すると火遁の術を棄てた。
     ★犬山道節と犬川荘助と互いの珠を交換した。★村雨丸を犬塚信乃に返した。
●荒芽山(=荒船山)
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に管領家の軍勢が迫り、犬士たちは離散した。

●荒芽山の離散の後、
①犬塚信乃は、甲斐に~~~~。 
②犬川荘助は、武蔵国で毒婦:船虫に命を狙われる。
  馬加大記(千葉生実城)に石浜城で幽閉。越後で小文吾と再会。
③犬田小文吾は、武蔵に逃れた。宿を貸してくれた並四郎は強盗であった。
  千葉家の役人に突如取り押さえられた。
④犬山道節は、甲斐で犬塚信乃と浜路姫を救出。扇谷定正の仇討ちの犬坂毛野を知ると
  一緒に扇谷定正を狙う。
⑤犬飼現八は、庚申山(栃木県足尾山系)で、化け猫退治にかかわり、犬村大角を知る。
  (庚申山&コウシンソウ=ムシトリスミレの火山岩地形の変種)
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●武蔵に逃れた犬田小文吾は並四郎と出会い、宿を借りる。強盗は並四郎であった。
●犬田小文吾は千葉家の役人突如取り押さえられた。
  千葉家代々の家宝「名笛:嵐山で」の疑いは晴れ、船虫が取り押さえられる。
  眼代は千葉家家老:馬加大記に引き合わせたが、大記は嵐山盗難の黒幕だった。
  事が露見するのを恐れた大記により犬田小文吾は城に軟禁。
●犬田小文吾が城内で出会った女田楽師旦開野=犬坂毛野)は粟飯胤度の遺児であった。
●粟飯一族の仇:馬加大記を対牛楼で討ち果たすした。
 2人は城を脱出。川を渡→離れ離れ。

●一方、諸国漫遊を経て、下野に訪れた犬飼現八は妖猫と対峙した。
    庚申山で、犬飼現八は弓をもって妖猫の左目を射る。逃げ去る妖猫を追った。
●庚申山麓の返璧(たまがえし)の里で、犬村角太郎と遭遇。
  角太郎の妻:雛江の腹に父:犬村儀清の子がいた。不義とみた犬村角太郎は雛衣を離縁。
  犬村角太郎の実父:赤岩一角が妙薬として、孕み子の肝と母の心臓とを要求。
  赤岩一角は「不義の子をかばって父を殺すのか」と怒鳴る。
  娘:雛衣の腹から出てきたのは胎児ならぬ霊玉であった。
  犬村角太郎は、犬飼現八と共に妖猫を退治した。
  角太郎は名を大角と改め、犬士の一人に加った。
●甲斐に来ていた犬塚信乃は猿石村で、村長の養女:浜路を知る。
  浜路姫に出会い、身体を借りた亡き許婚の浜路の魂から想いを伝えられる。
 犬塚信乃は村長殺しの疑いで捕縛されるが、石和の寺に「大」と犬山道節に救われる。
 「大」より「実は浜路は里見家五の姫で、幼少時に大鷲に攫われた浜路姫である。」
 と知らされた。
●越後:小地谷にたどり着いた犬田小文吾は、船虫に襲われたのを契機に犬川荘助と再会。
 犬坂毛野は残る仇:籠山逸東太の復讐を誓った。
●武蔵:穂北で犬飼現八と犬村大角は邂逅。
●甲斐:猿石で犬塚信乃と犬山道節は邂逅。
●武蔵:犬坂毛野は扇谷定正夫人:蟹江丸の知遇を得て、
  竜山免太夫=籠山逸東太の殺害を依頼。
●鈴茂林の仇討ちに便乗した犬山道節は五十子城の扇ヶ谷定正を攻め、上杉定正の兜を射た。
 蟹目前と重臣・河鯉守如らの自害を知って兵を退く。民衆のために倉を開放して墨書を残した。
●七犬士は下総結城の結城合戦戦死者の法要に向かった。

●富山で刺客に襲われた里見義実の前に、伏姫神に育てられた大八=犬江親兵衛が現れた。
●素藤の乱・・・妙椿は退治されて本体(玉梓の怨念の宿った狸)を犬江親兵衛が暴く。
●国府台の戦い・・・管領戦では犬飼現八とともにに出陣し、山内顕定・足利成氏と対戦。
 犬江親兵衛の危機を救って房八に報い、勝利を収め、足利成氏を捕虜にした。
 戦後、帰還する成氏に村雨を献上して父子三代の宿願を果たす。
 里見家の五女・浜路姫を妻とし、東条城主となった。
 
●結城で八犬士は集結。→八犬士たちは安房に赴き里見家に仕えた。

3)関東大戦
●里見義成は朝廷への使者として犬江親兵衛を京都に派遣された。
  犬江親兵衛は管領:細川政元に気に入られて抑留される。
●親兵衛は京を騒がす虎を討ち、帰国の途に就く。
●七犬士たちと彼らが仕える里見家を恨む扇谷定正は
     山内顕定・足利成氏らが里見討伐軍を発していた。
  →行徳・国府台・州崎三ヶ所で合戦。・・・里見家の大勝利した。
  朝廷から停戦の勅使が訪れて和議が結ばれ、里見家は占領した諸城を返還した。
  犬塚信乃は、捕虜となっていた足利成氏に村雨丸を献上し、父子三代の宿願を遂げる。

●八犬士は里見義成の八人の姫と結ばれ重臣となる。

●時は流れ、犬士たちの痣や玉の文字は消え、奇瑞も失われた。
●「大」は安房の四周に配する仏像の眼として、数珠玉を返上させる。
●里見家三代当主の里見義通が没すると、高齢になった犬士たちは子供に家督を譲り
 富山に籠った。 →彼らは仙人となったことが示唆される。

●里見家もやがて道を失って戦乱に明け暮れ、十代で滅んだ。

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